いじめを防ぐ手立ては、傍観者がカギ
2ヶ月ほど前に、ある発達研究所のいじめ防止セミナーに出てきた。
あまりにも忙しすぎて、やっと資料等を見返しながら振り返っているところだ。
その研究所では、いじめを科学的に分析して、心理学的側面やデータ的な側面を生かしていじめについて考察していた。特に鍵になるのは、傍観者の存在だ。
データを簡単にまとめると以下のようなことになる。研究は海外のデータをもとにしていて文化的な観点が抜けているのは気になるが、人間の行動心理と言う所では参考になるデータだろう。
• いじめエピソードの85%に傍観者が関与。37%が単に見ているだけで、63%がいじめ加害者と同じゲームや活動に参加していた。
• いじめエピソードの74%で傍観者は加害者の側に立っていた。(被害者の側は23%)
• 傍観者がいた85%のうち、13%で傍観者がいじめをやめさせようとしていた。
•学校職員は、いじめエピソードの4%しか介入しなかった。
• ある2つの小学校で3年間、子供たちの様子を観察したところ、88%に傍観者の存在があった。
• 小学校1年から中学2年までの児童生徒4743人を対象とした調査によると、83%の傍観者が、いじめ状況を不愉快だと感じている。(しかし、そうしたくないにもかかわらず、いじめの考えに変わってしまう傍観者が31%いる)
• 傍観者がいじめを止めようとした場合、全く効果がなかったが26%、効果があったかどうか判断できなかったが17%に対し、効果があった(数秒以内いじめが止まった)のは57%だった。
つまり、いじめは、普通、大人に見つからないように行われる。しかし子供たちの中で行われ、子供たちの中に目撃者がいる。それは、いじめの目的が、集団内での力を得ること、友達からの承認を得る事の場合が多いためである。
また、いじめの加害者、被害者を見つける事は難しいが、傍観者(目撃者)を見つける事はたやすい。なぜなら大人の前にいる子供のほとんどが傍観者(目撃者)であるからである。
傍観者は、何も行動しないことが多い。だが、「いじめなんて、やめてほしい」と思っていることが多い。そして、そんな傍観者がいじめをやめさせようと行動すると、いじめをストップできることがわかっている。特に、傍観者が集団で異議を申し立てた時に強い効果を発揮するということである。
いじめ問題は起きてからでは遅い。だからこそ傍観者を育て協力者へと変えていくことが非常に大事である。このシステムを学級の中に取り入れればいじめを予防できることにつながると考えながらこのブログにまとめているのであった。