ビジョントレーニング
家事の合間に、もう一本。
私が、1年生、2年生、支援級担任をしていた時、毎日必ず行っていたのが、「ビジョントレーニング」だ。
いろいろな方が、ビジョントレーニングの本を出しているが、私は、北出勝也先生のを使っている。
ビジョントレーニングは、三つの構造からなっている。
①眼球運動トレーニング
②視空間認知トレーニング
③眼と体のチームワークトレーニング
である。
どれも大事なのだが、私が特に大事にしたのが、眼球運動。
眼球運動には、
①追従性眼球運動:線やものを追う。
②跳躍性眼球運動:ある点からある点へと視線を移動させる。
③両眼のチームワーク:両眼を対象に同時に見る。(両眼で視線を動かす)
というものがあるのだが、支援級の子たち、グレーゾーンの子たちは、ここの力が未発達のために授業で苦労する。
眼球運動が上手に使えなければ、「字が把握できない=読めない」「真っすぐ字が書けない」「視写できない」「板書が書けない」と様々なことが待ち受けている。
それを放置してしまうと未支援、低学力化が進んでしまう。なにより、負のマインドセット化になってしまう。
教員は、発達心理学、認知心理学の知識が乏しい人が多いので、勘違いして「怠けている」「練習が足りない」となり、結局、宿題や課題で追い込んでいくことになる。こういった形になると、保護者も追い込まれ、夫婦仲・親子仲にダメージが生じてしまう。
これは、誰も特はしない。
さて、私が支援級でもった一年生の「Aさん」の事例を少し紹介する。
Aさんは、入学時の平仮名の読み、書きは数語分かっている程度。語彙はそれなりにあるが、文字と絵が結びつくことが難しい。数の概念は10まで分かる。視線が合わない、会話のキャッチボールは成立することができるが表現に乏しい、といった感じであった。
まずアセスメントをとったら、全く物に視点が行かない。視線が合わないのも、物に視点を合わせるのもできないのは、トレーニング不足だと思い、ビジョントレーニングを開始した。
まず初めにしたことは、顔を動かさないでペンだけ見る練習。そこから徐々に、遊びと眼球運動を使うトレーニングを融合させながら、本人にトレーニングということを意識させないまま一か月続けた。(詳しくは北出先生のビジョントレーニングをぜひ見てください)
するとどうだろう、支援級にあるホワイトボードの文字を徐々に読めるようになってきたではないか。そこで、簡単なひらがなを交えた視写を行い、徐々にだがレベルを上げていったところ夏休み前には交流級の黒板の連絡事項を写せるところまで行けてしまった。
身に着けたらとんとん拍子。国語だけでなく、算数、音楽などあらゆるところで力が向上し支援交流についていかなくても大丈夫なところまでに成長してくれた。
低学力やノートが書けないなどといった要因は、視機能に代表される認知機能の未発達という場面も考慮に入れてほしい。
似たようなもので、
SU@旅人→小学校教師ブログ様では「コグトレ」を紹介されていた。よかったらそちらのブログも見てただきたい。
私のよりも大変参考になると思う。
まさに見方を変えれば味方になるのである。