冒険の共有
昨日のNHKスペシャル。
冒険の共有 栗城史多の見果てぬ夢。
栗城史多氏をご存知だろうか。世界七大陸最高峰に挑戦し、SNSを駆使しながら登山過程を配信し続けた登山家だ。彼の目指したものが「冒険の共有」だ。山に興味がない人たちにもこの取り組みは浸透していき、メディアにも取り上げられていった。
しかし、最近は登頂に失敗することが多かったこと、また登山スタイルについての批判が多かったのを記憶している。
私は、登山が趣味なので、彼の挑戦を、注目して追っていた。
2012年10月エベレスト西稜ルートへのアタック時には、凍傷により指9本を失ったが、再起をかけ、エベレスト挑戦を目指していた。
その最中での、2018年5月の滑落死。
言葉にならなかった。
冒険の共有に対し、彼の背中を押していた人々がいる。その後押しがある為に、山で大事な「降りる」ということができなくなってしまったのだろうか。それとも、無謀ともいえる南西壁への挑戦で、一発逆転、もしくは死んで語り継がれる存在になろうとしたのか。彼の心情は、計り知れないが、私も彼を応援していた立場として、今回のドキュメンタリーを胸が締め付けられる思いで見ていた。
登山家の花谷氏の「登山家だろうが、演出家だろうが栗城くんは、栗城くん」、長年同行していたカメラマンの魚住氏の「登れずに終わって彼が何をするのか。登山家という重圧から外れた彼が今後どうなって行くのかそこが見たい部分だったのに、死ぬんじゃねえよって。」という言葉にあるように、失敗しても続けることに価値があり、生きていればこそたどり着けたものもあろう。
若くして散った彼の姿を通し、成功しなくても、失敗し続けてもただ愚直に、ひたすら前に進む。誰に批判されようが自分は自分だと胸を張る大切さを改めて考えさせられた1日となった。