私が基本としている学級経営術
私の学級経営の基本は、心理学。しかし、それだけではなく実践者ベースでは野中信行先生の理論を基にしている。
野中先生は、初任者指導や授業研究会の講師をたくさんの自治体で行っており、今も精力的に活動されている。
退職されて10年以上経っているが、その実力はいまだ健在。模擬授業を見せていただいたことがあるがリズムやテンポがよく、とても心地よい。
とても気さくな方で、フットワークもよく、積極的に情報を取りに行き、吸収し続けている。
様々なことを直接教えていただいたことで、私の学級経営能力は、大幅に向上することができた。私が尊敬する方の一人である。
さて、わたしは愛読しているのが、「必ずクラスがまとまる教師の成功術!」である。
野中信行先生と横藤雅人先生の共著である。ちなみに横藤先生は、隠れたカリキュラムの研究でご著名で、校長職を退官後、北海道教育大学の教授職でご活躍されている。
さて、この本の中身を少し解説したい。
1:学級経営はシステム→3・7・30の法則
①はじめの3日は、出会いの時間
この先生となら1年間やって行けそうだ楽しそうだという、イメージを形成させなくてはならない。
②はじめの7日は、組織作り、仕組みづくりの時間
ここで、学級のしくみとなるすべてを決める。
③はじめの30日は、徹底する時間
7日までに作り上げた学級のしくみを徹底させる。気を抜かない、手を抜かないで何度も何度も繰り返す。1年間のすべては初めの1か月で決まる。ここをしっかりやるとクラスがどんどん伸びていく。
2:学級経営は縦糸・横糸がポイント
縦糸…クラスのルール、しつけ、言葉づかい、学習環境
横糸…子どもとのなれ合いではない関係づくり
3:縦糸について
○クラスのルール
①時間を守る、守らせる。
②教員の大切にしたいところの理解
③決まりを破っている物を見逃さない。
○言葉づかい
①丁寧語で話す、話させる。
②返事、あいさつの指導を繰り返し徹底。
③子どもが教員だけに話していないか。みんなに向けて話す指導。
○しつけ
①提出物は「お願いします。」と言って提出させる。
②授業中は「くん」「さん」をつけて呼ぶ。
③廊下に並ぶ・移動の際はしゃべらない。列は乱さず。
④トラブルの際には、相手の言い分をしっかり聞く。解決はその日のうちに。
⑤職員室の作法
⑥物をわたす際「どうぞ」「ありがとう」のあいさつ。
○学習環境
①教室の掲示物がとれたままでないか。
②廊下に、子どものものが落ちてないか。
③ロッカーの中、机の中はぐちゃぐちゃでないか。
④教師の教卓の周りがぐちゃぐちゃでないか。
⑤学級文庫の整理ができているか。
⑥下駄箱、かさたてが散乱していないか。☚意外とここが盲点
縦糸の部分がしっかりできないと、それが隠れたカリキュラム(ヒドゥンカリキュラムともいう)となり、子どもたちの誤学習を誘発する。隠れたカリキュラムは、恐ろしく、いつの間にか定着し気がついた時には、どうすることもできない事態に発展することもある。
また、隠れたカリキュラムは、教員のふるまい方にも言える。教員が粗野だとクラス自体が粗野になる。教員の映す鏡が、子どもの状態。
4:横糸について
○子どもたちと遊ぶ
○教師が子どもたちとともに話し合う。
○全力で叱り、全力で褒める。
○笑いの輪を作り、ほんわかした雰囲気を作る。「嗤い」は認めてはいけない。
○教師が偉いわけではない。謝るときは謝る。フラットな人間関係をめざす。
○わからないことがいいことだという雰囲気を作る。
○子ども同士で助け合う雰囲気を作る。
○学級の8割の子を味方に。
○先入観、勘違いを捨てること。
特に、大事になってくるのが学級内世論の形成。どんなクラスでも、教員を助けてくれる2割がいる。そして、態度を決めかねている中間層が6割。どうやってもいうことをきかない2割がいるものだ。ここで、いうことをきかないやんちゃな2割にかかりっきりになると、態度を決めかねている中間層が反旗を翻す。だから、まずは、助けてくれる2割と中間層の6割の計8割をがっちり固めることが一年安定できるかのカギになる。
この考えは、非常に正しい。集団心理学理論でもしっかり説明がつく。
初任者と組むことを数回経験しているが、初任者や若手が学級経営で失敗するのがここ。原理原則を踏み外すと痛い目を見る。
また、野中先生は「言葉」と「表情」というものに言及されている。
しかし、今回は「マスク」が物理的要因になり、「表情」がうまく使いにくい。
今年は非常に今までにないぐらい学級経営の困難さが増しそうだ。
今年組んでいる学年は初任、4年目、5年目なので、受け入れてもらえるために「うざがられないように」伝えていこうと思っている。
※記事を書いたあとに気が付いた。
今回で200記事目。
のらりくらりと書いてきたブログだが、細々と続いている。200記事目が、大切な方の記事になるとは…。なんか偶然というのは面白いものである。